自己破産の管財事件を回避するために

債務整理

自己破産で財産があると管財事件となる

自己破産は免責が降りることで借金をゼロにすることができる、債務整理の中でももっとも効果の大きな手続きです。しかし自己破産をすると持っている資産を処分しなくてはならなくなったり、一定期間信用情報に事故履歴が残ることによってクレジットカードやカードローンの契約ができなくる、特定の資格や職業が制限されるなどのデメリットがあります。これに加えて「管財事件」として扱われると、移動の制限が加わることになり、手続き完了にかかる時間も長くなってしまうことがあります。

管財事件とは、自己破産で財産があると判断された場合に適用されます。財産として判断されるものは、20万円以上の貯金や住宅資産などがある場合ですので、手続き開始前に返済をするなどして財産を減らしておくことが重要です。資産がない場合は「同時廃止」として扱われ、手続き完了までにかかる時間も圧倒的に短くなります。早めに手続きが終わることによって、職業の制限が解除されるまでの時間も短縮することが可能です。特に自己破産をすることで仕事に影響が出てしまうような人の場合は、同時廃止になるように自ら資産を整理しておく必要があります。
また、免責不許可事由がある場合も調査の対象となるため、管財事件として扱われる可能性があります。これは借金の原因がギャンブルや浪費だった場合、虚偽の債権者名簿を提出した場合、特定の債権者に優先的に返済をした場合、不利益な条件で借金を増やしたり、商品を購入して処分した場合などです。管財事件になることで破産管財人が選定され、持っている資産の調査が行われます。移動の制限が加わるのは財産を隠したり、本人が逃亡する恐れを避けるためです。あくまでも制限ですので、出張や避けられない旅行などで移動が必要な場合は、あらかじめ裁判所の許可を取っておけば問題ありません。破産管財人とは密に連絡が取れる状態にしておくことが重要なのです。

免責が降りたとしても、税金や保険料、損害賠償、罰金などは免除の対象外となっています。自己破産で整理ができるのは借りていたお金だけだということにも注意をし、もし免除にならない支払いの滞納がある場合は早めに返済を進めておいたほうが良いでしょう。

全体の1割は管財事件となっている

管財事件になると予納金も多く納めなくてはなりません。少額の事件の場合でも20万円は必要となります。自己破産は規模によってかかる時間やお金も変わってきます。同時廃止になるのは全体の手続きの9割ですが、残り1割が管財事件として扱われます。

免責が降りないと自己破産をするメリットは一切ありません。借金はそのまま残り続けることになります。しかし手続きを開始することで債権者は返済ができないことがわかるため、一般的にはその後返済を迫るようなことはしません。時効を迎えることによって返済義務がなくなります。これは時間や労力をかけたところで回収することが困難であれば、債権者側にとってもメリットがないためです。問題なのが職業や資格の制限がその後10年続いてしまうことです。10年経てば申し立てによる復権ができるようになりますが、それまでは制限されている仕事をすることはできません。免責が降りた場合は「当然復権」とされて手続き完了と同時に権利も元通りに戻ります。

自己破産をする人の中にはギャンブルや浪費に該当していないか心配になる人も多くいます。実際には多少のギャンブルや浪費では免責が降りますが、依頼する弁護士によっては反省文を書くように勧められることもあるので、手続き開始前に相談しておくと良いでしょう。大切なのはやり直すための心がけです。二度と同じ失敗を繰り返さないために反省していることを裁判所にわかってもらう努力をしなくてはなりません。

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