千葉県の交通事故

千葉県は運転免許保有者数が多く，その反面，交通事故が多く発生しています。では，どのような状況で事故が発生しているのでしょうか。松戸市内の交通事故状況の最新動向についてご説明します。

（1）時間帯

松戸市内の交通事故のほとんどは，平日の6時から20時までの間に起こっており，16時から18時までの間は特に事故が発生しやすい時間帯となっています。日没前後は，視界が悪くなるうえ，帰宅ラッシュにより交通量が増加することが事故が多い理由であると考えられています。安全確保のため，明るい色の服を着る，バッグにLEDライトや反射材をつけるといった工夫をしましょう。

（2）事故の種類

交通事故全体の事件数は減少傾向にあり，特に傷害事故（人身事故のうち被害者に怪我が生じたもの）の減少傾向は顕著といえるでしょう。

これに対して，物損事故の割合は増加傾向にあります。これはシートベルトの着用率が上昇したことや飲酒運転の減少，歩行者のマナーの向上，自動車の安全装置の技術向上等によるものと考えられています。

（3）事故原因

事故原因としては，酒酔い運転や過労運転は極めて少なく，交通事故のほとんどは前方不注意，運転操作ミス，動静不注視（相手車両の存在に気づいていたものの，注意を怠り相手車両の車線変更に気づかない場合等），安全不確認（安全確認を怠り相手車両の存在に気づかない場合等）が原因となっています。

また，近年では，歩きながらスマートフォンを操作することを原因とする交通事故が全国的に増えつつあり，松戸市も例外ではありません。歩行者と自動車の接触事故においては歩行者が被害者となりますが，このような被害者側の不適切な行動が原因の一部となることもあるのです。

（4）事故現場

事故現場の大部分は市町村道ですが，その他にも国道6号線や松戸鎌ヶ谷線，市川柏線，千葉鎌ヶ谷松戸線等でも多くの事故が起こっています。松戸市内における交通事故多発交差点として下記の交差点が挙げられます（千葉県警察HP〈http://www.police.pref.chiba.jp/kotsusomuka/traffic-safety_trouble.html〉参照）。

中根立体入口（松戸市中根11番地先）                                                    （H27・8件・2位，H26・4件・66位）

陣ヶ前（松戸市松戸2269番地の6先）                                                    （H27・7件・6位，H26・5件・27位）

松戸隧道（松戸市松戸618番地の1先）                                                  （H27・4件・56位，H26・4件・66位）

岩瀬（松戸市岩瀬149番地先）                                                                   （H26・8件・2位）

根木内（松戸市根木内249番地の1先）                                                  （H27・7件・6位）

根本（松戸市根本11-1先）                                                        （H28・6件・12位）

外かん矢切入口（松戸市上矢切789先）                                                  （H28・5件・26位）

北松戸三（松戸市北松戸1丁目9番地の5先）                                    （H27・5件・19位）

松戸二中前（松戸市小山685番地先）                                                      （H27・5件・19位）

根木内南側（松戸市久保平賀281番地の1先）                                    （H27・5件・19位）

七畝割北側（国道6号上）（松戸市胡録台363番地の6先）          （H26・5件・27位）

主水（松戸市主水新田341番地の3先）                                                  （H27・4件・56位）

コンビニエンスストア付近（松戸市日暮5丁目2番地先）              （H26・4件・66位）

松戸市消防局付近（松戸市松戸新田114番地の5先）    （H26・4件・66位）

幸谷（松戸市幸谷123番地の1先）                                        （H26・4件・66位）

黎明橋際（松戸市和名ケ谷32番地の1先）                        （H26・4件・66位）

小金交番付近（松戸市小金きよしケ丘1丁目12番地の1先）       （H26・4件・66位）

松戸東警察署付近（松戸市小金原9丁目1番先）                                （H26・4件・66位）

六実郵便局付近（松戸市六実3丁目5番地の2先）                           （H26・4件・66位）

※事故発生現場（年度・事故発生件数・事故件数の県内順位）

交通事故から生じる法律問題

（1）損害賠償とは

交通事故を起こしてしまった場合，不法行為（民法709条）として，被害者に生じた損害を賠償する責任が生じます。ここでいう損害とは，交通事故がなければ被害者が現在置かれているであろう財産状態と，交通事故があったことによって被害者が実際に置かれている財産状態との差額をいうものと考えられています。交通事故の加害者となった場合には，この差額部分を埋め合わせるだけの金銭を支払わなければなりません。このことは，法律上，損害賠償と呼ばれています。

（2）損害の種類

物損事故の場合には，相手方の自動車等の修理費や，修理期間中に自動車を使用することができなかったことにより生じた損害（代替車のレンタル費用等）を賠償しなければなりません。

事故により相手方に怪我を負わせてしまった場合には，上記の費用に加え，治療費（入院治療費，通院治療費）や器具等購入費（車椅子が必要になった場合における車椅子の購入費等），家屋等改造費（交通事故の影響で自宅をバリアフリーに改装する必要が生じた場合における改装費用等），介護費（ヘルパーを利用する必要が生じた場合における人件費等），休業損害（入院等が理由で働くことができなかったことによる減収分），後遺症逸失利益（後遺症が残ったことによって転職をせざるを得なくなった場合における転職の前後の収入の差額分等），慰謝料等について賠償することになります。

そして，運悪く相手方を死亡させてしまった場合は，死亡していなければ労働により得られたはず収入相当額も損害賠償の対象となります（実務上は67歳までとされています）。

（3）過失割合とは

被害者が歩きながらスマートフォンを操作していたために被害が拡大したような場合でも，損害額の全てについて賠償しなければならないのでしょうか。被害者の不注意により被害が拡大した場合にまで加害者が全ての損害を賠償しなければならないとすると，加害者は不当に重い責任を負うことになってしまいます。

そこで，公平の観点から，被害者の側に不注意があれば，そのことも考慮して損害賠償額は減額されると法律上定められています（過失相殺（民法722条2項））。

そして，その交通事故の発生について被害者と加害者のそれぞれにどの程度の過失があったのかを割合で表したものを過失割合といいます。交通事故により100万円の損害が生じ，被害者と加害者の過失割合が3:7だったとすると，加害者は70万円の損害賠償をすればよいということになります。

3．交通事故後にすべきこと

交通事故を起こしてしまった場合，どのように対処すればよいでしょうか。

警察の実況見分や病院の受診・治療等，一通りの対応が終わった後は損害賠償をいくら支払うべきかが問題となります。

実際には，加害者側は保険会社が交渉の窓口となることがほとんどです。被害者側は本人が直接交渉をすることもありますが，通常は弁護士が本人に代わって交渉をします。

生じた損害の内容や，過失割合等を踏まえたうえで，保険会社との間で適正な示談金額を決めなければなりません。加害者側の保険会社が提示する金額は裁判所の基準と比べて低額な場合が多く，適正な金額に定めるためには，被害者に生じた損害が大きくないことや，事故の発生につき被害者にも不注意な点があったこと等を主張する必要があります。

このように，交通事故後の損害賠償等の処理においては，高度の専門性が要求されます。そのため，交通事故の加害者となってしまった場合には，弁護士に対応を任せるべきです。特に，交通事故の場合には，その地域を中心に活動し，土地勘のある弁護士に相談することが重要になります。地域の交通事情に熟知し，事故現場にすぐに行けることが，示談交渉や弁護活動に不可欠だからです。

4．まとめ

千葉県は交通事故が多く，特に日没前後の交差点付近においては十分に注意しましょう。万が一，交通事故の当事者となってしまった場合には，松戸市内の交通事故に精通している弁護士に相談し，事後処理を任せることが最善の方法といえます。